「お父さん、本当なの?」笹木承志が突然顔を上げた。
「うん!」笹木蒼馬は息子の頭を撫でて、うなずいた!
その表情と動作は非常に慈愛に満ちた父親そのもので、とても真面目だったが、君一ちゃんの次の言葉で、彼の完璧な父親像はバラバラに砕け散った!
「お父さん、宝物をどこに連れて行くの?宝物って誰?お父さんが言った『宝物』は絶対に僕じゃないって分かるよ。だってお父さんは一度も僕のことを宝物って呼んだことないもん!」君一ちゃんは悲しそうに泣き出した。「もしかしてお父さんは外に他の子供がいるの?僕だけじゃないの?」
笹木蒼馬は一瞬頭が真っ白になり、何のことか全く分からなかった。「宝物?いつ宝物なんて言ったんだ?」
そんなことはあり得ないはずだ!
君一ちゃんは電球のように目を丸くして、非常に確信を持って言った。「言ったよ!『運転手に迎えに行かせるよ、宝物』って言ったの。それに『出てこない?宝物』とも!しかもお父さんの口調はその宝物のことをすごく好きそうだった。僕より好きみたいだった!」