第207章 先に小人、後に君子

「まあまあだね!」鈴木越哉はやや得意げに言った。

石塚千恵は契約書を持って立ち上がり、「わかりました、これ以上鈴木社長のお金儲けの邪魔はしません。契約書を持ち帰って弁護士に検討してもらいます!」

鈴木越哉も立ち上がり、彼女の言葉に一瞬戸惑った。「お嬢さん、友達を信じなさすぎじゃないですか?他の人を信じなくても、私は信じてくれてもいいでしょう?」

「ビジネスマンの目には利益しかなく、情けはありません。やはり用心するに越したことはありませんよ!では、行きます。鈴木社長、見送りは結構です!」

ドアの前に立ち、去っていく彼女の姿を見て、鈴木越哉は笑いながら首を振った。「千恵よ千恵、俺は誰かを騙すかもしれないが、その誰かの中に君は絶対に含まれていない……」

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