第213章 おとぎ話の夢

部屋の雰囲気は激しい動揺から、静かな不気味さへと変わった。

口をきつく閉じた石塚千恵は身体の上の重みを力強く押しのけ、よろめきながらトイレへと駆け込んだ!

汗を滲ませた笹木蒼馬は息を切らしながらベッドから降り、タバコに火をつけ、ソファに座って休んだ!

石塚千恵は恥ずかしさと照れを感じながら戻ってきた。「笹木社長、早く休んでください。私はもう帰ります!」

濡れた口元を拭いた!

笹木蒼馬は彼女の小さな手を引っ掛け、力強く自分の胸元に引き寄せた。「今でも私を笹木社長と呼ぶの?よそよそしすぎじゃない?」

「じゃあ私は……何て呼べばいいの?蒼馬?蒼?恥ずかしくて照れくさくて、呼べないわ」石塚千恵は頭をひねって言った。

「笹木蒼馬でいいよ!」彼は笑った。

石塚千恵は慎重に彼を見つめた。「本当にいいの?私、あなたのフルネームを直接呼ぶなんて怖いわ!」