橋口俊樹は書斎に入り、スマホで遊ぼうとしたとき、WeChat(微信)の通知音が鳴った。
「橋口兄さん、谷口です。私のこと覚えていますか?」
甘くて崇拝に満ちた声が響き、それは橋口俊樹の記憶を呼び起こした。あの日、彼は鈴木越哉とバーで飲んでいたとき、ちょうど笹木未桜と彼女の同級生に出会い、その後4人で一緒に話すことになった。
この谷口さんは笹木未桜の同級生で、若々しく甘い顔立ちをしており、恥ずかしがり屋だった。会話の間中、彼女の頬はずっと赤らんでいた。
その少女の恥ずかしそうな笑顔と、自分を特別に慕う眼差しを思い出すと、橋口俊樹の気分は急に良くなり、音声メッセージを返す気になった。「もちろん覚えているよ、君の目はとても綺麗だ!」
「橋口兄さんは冗談が上手ですね。私なんて未桜ほど綺麗じゃありません。彼女こそ私たちのクラスの美人です!」