第359章 お尻に魅力がない

鈴木越哉は彼女に眉を上げ、彼女のウールのコートをじっと見つめた。「本当に透視能力があるって言ったの?」

「あなたは透視能力があるだけじゃなく、犬の鼻も持ってるわよ!」石塚千恵は彼を皮肉った。彼女を「継母」と真面目に呼ばなかったのだから仕方ない。

君一ちゃんは泣いていたから聞き取れなかったけど、もし聞こえていたらもっと不機嫌になっていただろう。

小さな子供の気持ちは大人の彼女には理解できた。普段はやんちゃでわがままに見えるけど、実は心の奥底では恐れていて、自分のものが他人に奪われることをとても怖がっている。

彼女は無意識に彼をもっとしっかり抱きしめた。君一ちゃんは彼女の体に寄りかかって泣き、時々すすり泣いていた。

鈴木越哉は彼女に向かって空気を嗅ぎ、目は色っぽく彼女の襟元を見ていた。