第460章 最も良心的な悪党

黒いビジネスカーが車の流れに埋もれていくのを見て、石塚千恵は視線を戻し、表情も悲しげに変わった!

たとえ彼が戻ってきたとしても、事態は解決しないだろう?

石塚千恵は約束通り病院に来て、二回目の採血を受けた!

今回は鈴木越哉が監督役を買って出て、最初から目を離さず見つめていた!そして彼の口も休まることなく、あれこれと質問を投げかけていた!

例えば——

「この点滴チューブは消毒されているのか?」

「そのアルコール綿、誰かが使ったものじゃないよね?確実に清潔なものだよね?粗悪品じゃないよね?」

「その血液を入れる袋はしっかり密封されているの?こっちから入れたものがすぐにあっちから漏れ出したりしないでしょうね!」

これに丘山翔介はうんざりした。「兄さん、その尊い口を閉じてもらえませんか?」

「俺がうるさいって言いたいのか?」鈴木越哉は不機嫌そうに問い返した。

「どう思う?」丘山翔介は言った。

石塚千恵も鈴木越哉のせいで頭が割れそうになっていた。「鈴木坊ちゃん、ここであなたがすることは何もないので、先に出ていってください!」

「まったく、恩を仇で返すとはこのことだ。俺はお前の体のことを考えているんだぞ、わかってるのか?」鈴木越哉は不満げに抗議した。

若い看護師は鈴木越哉の監視の下、慌てふためいて、アルコール綿さえうまく挟めなくなっていた。

丘山翔介は懇願せざるを得なかった。「兄さん、安心してください。今回は絶対に事故は起きません。どうか出ていってください。そうしないと仕事ができません!」

「採血を見られるのが怖いのか?それなら君たちの精神力は本当に鍛える必要があるね!」

丘山翔介は妥協して言った。「では少なくとも静かにしていただけませんか?本来なら私たちの技術は十分なのですが、あの有名な鈴木旦那様がここにいると、若い看護師が緊張しないわけがないでしょう?」

鈴木越哉がまた何か言おうとして、口を開いた瞬間!

「越哉、私のことを心配しなくても大丈夫よ。問題ないわ。丘山医師は今回きっとしっかり準備してくれているはず!」石塚千恵が一言諭した!

「わかったよ!」

これでようやく彼は静かになった!

看護師も手順に厳密に従って、石塚千恵の採血を行った!

真っ赤な血液がゆっくりと袋に流れ込み、すぐにしぼんでいたプラスチックの袋が膨らんでいった!