第554章 甘い時間

彼女は人生で最も大切な二人と一緒に暮らし、心を込めて彼らの世話をしたいと思っていた!

君一ちゃんはボールのように家の中に滑り込み、テーブルの上に置かれた大小の包みを見て、まるでネズミのようにそれらをあさり始めた!

「これは僕のパジャマ、これは靴、これは下着、それからタンクトップに、ショートパンツ……」笹木承志は次々と物を取り出し、興奮しながら自分の体に当ててみた!

「気に入った?」石塚千恵はモンキーのプリントが入ったタンクトップを手に取り、広げて君一ちゃんに見せた!

「うん、気に入った!」君一ちゃんは忙しくて、どれを手に取ればいいのか分からないほどだった。

息子の肯定的な反応に、石塚千恵はとても嬉しくなった。自分の服を買うよりも嬉しかった。「それはよかった。これからは毎日違う服を着て、そしてママ……」

笹木承志は足を踏み鳴らし、困ったように眉をひそめた。「どうしてまた自分のことをママって言うの?あなたは僕のママじゃないよ。ママがこんなに若いわけないじゃん!」

石塚千恵は内心で舌を出した。また言い間違えてしまった。「ごめんなさい。私の年齢はあなたのママになれるくらいだから、つい勘違いしちゃうのよ」

君一ちゃんは鼻にしわを寄せた。「僕にはママがいるし、ママは足りてるよ!」

石塚千恵はそれを聞いて、心の中では納得がいかなかった。本当は子供に言いたかった、あの人はあなたの本当のママじゃない、私こそがあなたの本当のママだと。「もう一人いてもいいじゃない?もう一人あなたを愛するママがいたら、幸せじゃない?」彼女はとても小さな声で尋ねた。

「何人いても本当のママは一人だけ。残りは本当のママじゃない。そんなの欲しくないよ!」君一ちゃんは再び口をとがらせた。

継母になる機会さえくれないの?石塚千恵の心は落ち込み、言いようのない悲しみを感じ、涙が出そうになった。

笹木蒼馬が後ろから近づき、千恵の背後に立ち、腕を彼女の腰に回して、さりげなく親密さを示した。「君一、もしパパが千恵と結婚して、彼女をママにしたら、どう?いいかな?」

君一ちゃんは目を丸くして、とても受け入れられないという表情をした。「パパ、何言ってるの?」

石塚千恵も驚いて、後ろの人の足を密かに踏み、警告するような目で彼を睨んだ。「何を言い出すの?」