第553章 泣いて目が痛い

石塚千恵は男性下着店を出て数歩歩いたところで、買い物袋を持った坂本愛蘭子が追いかけてきた。「パンツは私が予約していたの、本当にごめんなさい、横取りしちゃったわね!」

「どうでもいいわ、ただのパンツよ、毎月新作が出るし、今回買えなくても次があるわ、争う必要なんてないわ!」石塚千恵はサングラスをかけ、冷たくも高慢な雰囲気を醸し出した。

「ふふ、そうね、このパンツは男性みたいなものよ、先に見つけた人のものになるわけじゃない、だって既に予約されていたかもしれないから!」坂本愛蘭子は別の意味を込めて言った。

石塚千恵はその言外の意味を察した。「坂本さんの言うことは全部正しいわけじゃないわ。パンツはあくまでモノだけど、人間は違う。人には主観的な能動性があり、選択する権利もある」