交差点で道を塞いでいたのは、十八、九歳の少年たちだった。だらしなくタバコをくわえている。
視線が彼女の長くてまっすぐな脚を撫でるように流れ、最後にその顔で止まった。
神崎深一は眉をひそめ、口を開いた。「お前が行け」
ヒーロー気取りで美女を救うこと、陸奥照影はそれが好きだった。
袖をまくり上げ、髪を手で払おうとしたところで、蹴りを入れられた。
振り返ると、神崎深一が両手をポケットに突っ込み、嫌悪感を滲ませた黒い瞳でこちらを見ていた。「さっさと動け。何をもたついてる?」
陸奥照影は足早に、ちょっとイカした女の子の方へ向かった。
「お嬢ちゃん、桜川第一のお利口さん?この時間に抜け出してサボり?」リーダー格の少年がわざと秋山直子に向かって煙を吹きかけた。彼は直子を見つめ、染めた髪が陽光でキラキラと光っていた。笑い声を上げる。
あまりまともではなく、視線も下品だった。
秋山直子はいたって真面目に、きわめて真剣な口調で言った。「違うわ。ちゃんと許可もらってるから」
少年たちは呆気にとられた。おそらく彼らの想定していたどのパターンにも当てはまらない反応だったのだろう。
秋山直子は一歩後ろに下がった。
手にしていたリュックを道端の段差に置く。
陸奥照影はまだ到着していなかった。
秋山直子は制服の上着も脱いだ。中は半袖の白いTシャツで、痩せた腕が少し露出し、その先には細くて清潔な指があった。
神崎深一はその場に立ち、直子の動きを見ていた。
バッグを置く時、彼女は顔を少し傾け、彼を一瞥したようだった。
ほんの一瞬の視線の交錯。神崎深一にはただ、血走った瞳が見えただけだった。精緻で美しく、それでいて少年のような獰猛さを宿していた。
彼は無意識に眉をひそめた。ちょうどその時、腰の細い美しい女生徒の声が聞こえた。「一回だけチャンスをあげる」
タバコをくわえた少年の視線が彼女の露出した腕に滑り、秋山直子の腕を掴もうと手を伸ばした。「ぷっ、お嬢ちゃんにチャンスをやろうか?一緒に……」
秋山直子は一歩下がり、そして勢いよく足を上げ、その少年の腹に蹴りを入れた。
速くて、容赦がない。
少年はよろめいて数歩後退し、子分に支えられてようやく立ち止まった。痛みで腰を曲げている。
子分たちはリーダーがやられたのを見て、一斉に前に出た。
まず秋山直子を捕まえようとする。
秋山直子は身を横にして一つの手を避け、相手がまだ反応する前に、もう一人のがっしりした男の襟を掴み、前に引き寄せた。男が目の前に引き寄せられた瞬間、彼女は拳を顔面に叩き込んだ。
不良は殴られて呆然とし、数歩よろめいて後退した。頭がくらくらして、鼻を触ると血まみれだった。
秋山直子の手は止まらなかった。
最後の一人が直子の腹に向かって拳を繰り出してきた。彼女は一歩前に出て、拳を掌に変えて相手の手首を掴み、身体をわずかに前傾させ、相手に少し近づいて、肩を支点にして借力し、その男を激しく投げ飛ばした。
現場は静まり返った。
神崎深一でさえ、すぐには反応できなかった。
威勢よく現れた、秋山直子より頭半分は高い四人の不良たちが、今や再起不能の状態で転がっている。
倒れている者、血を流している者、腰を曲げて胃液を吐いている者もそれぞれ現れた。