014 私は本当に有名だから

「申し訳ありません、個人的な理由で、私にもわかりません」電話の向こうの声は相変わらず丁寧だった。

森田錦也は残念そうに電話を切った。

彼は目を伏せ、まつげを垂れ、目の奥が見えなかった。

もう食事に行く気分ではなく、書斎の椅子に座り、少しイライラしながら携帯を見つめていた。

5分もしないうちに、入金の通知が届いた。

「何か問題でも？」しばらくして、森田麒太がドアを開けて入ってきて、何気なく尋ねた。

森田錦也はかねてより天才で、大学1年の時に既に他人と協力して会社を立ち上げていた。具体的な内容は森田麒太は知らなかったが、彼が自分の主張を持っていることは理解していた。

彼がこんなに悩んでいる姿を見るのは珍しく、食事もとっていなかった。

森田錦也は眉間を押さえ、うなずいた。