秋山直子はペンを取り、森田佳代が書いた物理の問題を見ながら、選択問題と穴埋め問題を写し始めた。
時々、数字を少し変えたりもする。
なかなか要領がいい、一目見て宿題を写すのに慣れている人だとわかる。
彼女の字は特に流暢ではなく、速く書くので、字はさらに見づらくなっていた。
一中はほとんどが学業優秀者で、生徒たちは皆自律的で、極めて稀なケースを除いて、宿題を写すなどということはほとんど起こらない。
彼女の座り方もあまり行儀がよくなく、目を半分閉じて、手で顎を支え、教室はかなり暑かったので、制服の上着を脱ぎ、シャツ一枚だけを着ていた。
秋山直子は徳田月光を気にせず、冷静に写し終えると、試験用紙を渡した。
徳田月光も特に何も言わず、秋山直子の手から試験用紙を抜き取ってそのまま立ち去った。