二階、芸術棟の練習室。
秋山言葉は手にバイオリンを持ち、頭を少し傾げ、眉をわずかに寄せていた。
バイオリンの音色はやや憂鬱で、秋山言葉のいつもの演奏とは大きく異なっていた。
徳田月光は眉と目を伏せ、彼の視線がいつもと違うことがわかった。彼はピアノに寄りかかり、無意識に指で叩いていた。
彼の周りには学生会のメンバーたちがいて、みんな秋山言葉の練習を聴きに来ていた。
秋山言葉が今日は新しい曲を練習したいと言ったので、みんな一足先に聴きたがり、中には携帯で録画する準備をしている人もいた。
バイオリンの音が鳴り始めて一分も経たないうちに、突然止まった。
徳田月光の目は焦点が合わず、何を考えているのかわからなかった。
音が止んだのを見て、彼は顔を横に向け、秋山言葉に話しかける時はいつも声を和らげ、視線は彼女の手にあるバイオリンに落ちた。「どうして続けないの?」