東京と千葉はかなり距離があり、東京のナンバープレートはほとんど珍しいものとなっていた。
彼女たちが知っている限り、学校では徳田校長だけが東京の人だった。
だから森田優子はそんなことを言ったのだ。
ただ、徳田校長はいつも姿を見せることが少なく、彼がどんな車に乗っているのか誰も知らなかった。
宮本晴と秋山言葉は少し首を振った。
秋山言葉は唇を引き締め、何も言わなかったが、宮本晴は複雑な表情で秋山直子を見て、「それが誰なのかはわからない」と言った。
「秋山直子」車の窓が下がり、徳田校長が後部座席に正座して座っていた。
秋山直子は手を離し、表情を引き締めて「徳田校長」と呼んだ。
徳田校長は秋山直子を見て、以前神崎深一が彼を訪ねてきたことを思い出し、膝を叩きながら、少し不思議そうに「食事に行くのかい?車に乗って、一緒に行かないか?」と言った。