075 あなたが気にするなら?いいよ。

クラス全体がこの時、一瞬静まり返った。

スピーチに参加していた数人の女子が呆然と口を開いた。「森田佳代、あなた間違えてるんじゃない?」

鶴田妍もスピーチ原稿を調べる一員だったのに、どうしてあんな場面で原稿を失くすことの重大さを知らないはずがない?

「森田佳代、適当なこと言わないで」鶴田妍の瞳孔が一瞬縮んだが、秋山言葉から聞いた話を思い出し、また落ち着いた。「誰かがあなたに離間工作したんじゃない?彼女はきっと自分で前もって暗記して、わざと原稿を破り捨てて注目を集めようとしたのよ。でなければ、あの程度の頭脳でどうやってあんな長いスピーチ原稿を覚えられるっていうの?」

誰もが彼女が秋山直子のことを言っていると分かっていた。

徳田月光の言うことを橘声也が聞かないはずがない、鶴田妍はそう確信していた。