秋山直子はキッチンにいて、宮本恵が瓶の蓋を閉めると、ふと顔を向けて秋山直子の手に巻かれた厚い包帯に気づいた。
「じっとしていなさい、水に触れないで」宮本恵は手を振って、彼女に出て行くよう促した。
秋山直子はちょっと考えてから、手に持っていた野菜をシンクに戻したが、出て行かずにドア枠に寄りかかって、目を細めた。
宮本恵は宮本晴と秋山直子の関係を考えると、心の中でため息をついたが、彼女を無理に出て行かせようとはしなかった。
「ここのエアコンはあなたが取り付けさせたのでしょう?あなたもアルバイトは大変なのに、私たちの家にお金を使わないで。叔母さんは力はないけど、家族を養っていけるから」宮本恵はぶつぶつと話し続けた。「それから、次は月島樹に服を買ってあげないで」
この前、学校で秋山直子が月島樹に持ち帰らせた袋は、月島樹への新しい服だった。