結城優子も一瞬立ち止まり、明らかにドアを開けたのが男性だとは思っていなかった。
彼は一歩後ろに下がり、部屋番号を確認した。2819、間違いない。
「部屋番号を間違えたんじゃないの?」結城優子は手を背中に回し、隣の結城杭を見た。
結城杭は冷ややかに彼を一瞥し、まるでバカを見るような目で、口を開くことも動くこともなかった。
まだドアノブに手をかけていた神崎木はようやく我に返り、どんな表情をすればいいのか分からず「結城様、どなたをお探しですか?」
陸奥照影と江戸川和葉はつい先ほど戻ってくることを決めたばかりで、その間誰にも知らせていなかった。結城様はこの二人がここにいることを知らないはずだ。
それに……
結城様がこの二人を訪ねる理由もないはずだ。
「すみません、秋山直子さんはここに住んでいますか?」結城優子は考えた後、振り返って少し頭を下げ、丁寧に尋ねた。