169古賀はどこ?(1更)

海おじさんはウェイターに椅子を運ぶよう指示していた。

歩み寄って、秋山直子に江戸川回を紹介しようとしたとき、江戸川回が神崎木に話しかける声が聞こえた。

「神」という姓は東京では珍しくないが——

江戸川回の口から「神崎さん」という言葉が出るのはあまり見かけないことだった。

海おじさんはほとんど考えることなく、すぐに神崎深一の身分を思い出した。

彼は神崎深一を見て、そして神崎深一の隣にいる陸奥照影を見た。見識が広く、心が強い彼でさえ、頭が少し混乱した。

陸奥照影たちのグループを驚きの表情で見つめた。

なぜなら、彼らが入ってきたとき、とても丁寧に自分に挨拶したことを思い出したからだ……

陸奥照影と神崎深一は互いに視線を交わした。

神崎深一は秋山直子を見た。直子は他の人よりも落ち着いていて、ソファに寄りかかり、少し頭を下げ、スマホで誰かとチャットしているようだった。