この事態がこうなるとは誰も予想していなかった。
宮本晴は何か言いたそうだったが、秋山言葉を一瞥し、心の中で何を考えているのか分からないまま、結局何も言わなかった。
森田麒太はちょっと間を置いた。
この件は秋山直子のスタイルとは思えない。彼女のような性格なら、仕返しをするにしてもこんな陰湿なやり方ではなく、前回の山田慎のように、正面から堂々とやるはずだ。
「どうしたんだ?」森田お爺さんは下の階で秋山言葉と一緒に戻ってきた二人の学生に付き添っていた。
しばらく待っても戻ってこないので、何か問題があるのではと心配して、彼も上がってきた。
森田麒太は簡潔に森田お爺さんに秋山直哉が持っていたダイヤモンドの状況を説明した。
森田お爺さんは眉をひそめた。
「言葉……」森田麒太は森田お爺さんの思考を気にせず、何か言おうとした。