174誰も秋山直子の手から人を捕まえることはできない(三更)

雲光財団は控えめだ。

グループ傘下は多岐にわたるが、いずれも雲光財団の名前を冠していない。

雲頂ホテルもその一つだ。

業界の分かる人は皆、雲光財団の規則を知っている。誰であれ、雲光財団傘下のどのクラブに入っても、全員が安全な状態で、全ての情報は機密扱いとなる。

これが雲光財団が裏の五大巨頭となった理由の一つだ。

だから雲頂ホテルの監視カメラ映像を見るのは難しく、警察が事件として立件するのを待つしかない。

これらは不文律だ。

だから、秋山直子が監視カメラを調べると言った時、短髪の女性が皮肉を言ったのだ。

鈴木さんはすでに森田麒太に電話をかけ、簡潔に状況を説明した。

サングラスをかけた女性は明らかに手ごわい相手で、宮本晴を呼んでも役に立たないだろう。

電話を切ると、鈴木さんは少し苛立ちながら秋山勇たちを見た。「ここが他の場所と同じだと思わないで。監視カメラは見たいと思えば見られるものじゃないわ。警察もすぐ来るから、みんな待ちましょう」