205 秘密研究員(三更)

現場の大部分の人は、この田中教授が呼んでいたのが田中静だとは気づかなかった。

二人は風采が優れており、乗っている車も普通の車とは思えず、特にその車のナンバープレートは人目を引くものだった。

秋山直子は結城杭と坂本美月が中に入るのを見てから、少し体を横に向け、冷たい目つきでこの二人の見知らぬ人を見た。「私の祖母を探しているの?」

「もしあなたが田中静教授の孫娘なら、私たちは間違っていない」年長の方が周囲を見回しながら、秋山直子に答えたのは中年の男性だった。

この時、後ろにいた宮本晴たちは、ようやく理解した。この二人の気品ある人物が口にしていた田中教授とは田中静のことか?森田お爺さんは目を大きく見開き、隣の森田麒太に向かって声を低めた。「あの田中静は教授なのか?」