214 隠れた身分、大物を怒らせた(三更)

志賀明は大画面に拡大された細部を見ながら、携帯を耳に当てた。「神崎水さん、間違いありません。上にマークがあります」

こちらの神崎水は部屋の中に座っている神崎深一を一瞥し、少し考えてから、携帯を持って外に出て、声を低くした。「ボスは今マース家族と交渉中だ。まず写真を撮っておいてくれ」

志賀明はさらに神崎水と二言三言話してから電話を切った。

「秋山さん、あのロボットにどこか見覚えがありませんか?」神崎木はここ数日の落ち込んでいたことを一時忘れ、頭を傾けて秋山直子を見た。

古賀千暁の家の二郎については、神崎木は詳しく観察していなかったので、手首に罌粟の花のマークがあるかどうかわからなかった。

秋山直子は頭を下げて携帯をいじっていたが、神崎木の声を聞いて、少し目を上げただけで、眉を上げた。「ないわ」