秋山直子の言葉を聞いて、志賀明は一瞬戸惑った。彼は横を向いて秋山直子を見た。「何?」
秋山直子は手を下ろし、目を細めて訓練場でゆっくりと立ち上がる神崎木を見つめた。
それ以上は何も言わなかった。
志賀明は彼女の隣に立ち、彼女の横顔を見つめ、何か言いかけては止めた。
神崎木は見るからに惨めだったが、怪我はそれほど深刻ではなかった。ただ自分より若い相手にこのように打ちのめされるとは思っていなかったのだ。彼は意気消沈して練武場から出てきた。
志賀明は彼を見て、咳払いをしたが、ジェリーのことについては尋ねず、いつもと変わらない口調で「神崎木兄弟、秋山さんをダンジョンに連れて行くんだけど、君も来るか?」と声をかけた。
秋山直子と志賀明は高い場所に立っていたため、神崎木はさっきの角度からは二人を見ることができなかった。