神崎深一は言い終わると、バイオリン協会から立ち去った。
神崎金はパソコンを助手席に置き、神崎深一は後部座席に座り、片手をドアに置き、もう片方の手で神崎金から渡されたボイスレコーダーを弄んでいた。
何かを思いついたのか、神崎深一は再び携帯を取り出し、結城先生に一枚の画像を送った。
神崎金が車を発進させ、大通りに出ると同時に、車に置いてあった彼の携帯が鳴った。ブルートゥースイヤホンを開くと、神崎土からだった。
「深一、神崎土たちがトラブルに巻き込まれたようです」神崎金はバックミラーを一瞥した。
神崎深一はボイスレコーダーのスイッチを押すと、結城先生と桑原陽太の会話が流れ出した。彼は無表情で、だらけた口調で言った。「話せ」
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バイオリン協会、結城先生のオフィス。
先ほど神崎深一がいたため、どんなに好奇心があってもウェイボーを見る手を抑えていたが、携帯は鳴り止まず、ほとんどフリーズしそうだった。