秋山直子は携帯を持って、ベランダから入ってきたところで、田中先輩の言葉を聞いて、少し戸惑った。「ありがとうございます。」
田中先輩は彼女を見て、表情は厳しかったが、声は礼儀正しかった。「いいのよ、私は医学部の田中雪、102号室よ。何かあったら声をかけてね。」
医学部?
秋山直子は神崎深一と陸奥照影たちが全員医学部だということを思い出した。
「そうそう、学生会に入りたいなら、102号室に来てね。」田中雪は彼女に手を振った。
秋山直子は迷彩服のボタンを一つ外し、笑った。「ありがとうございます、先輩。」
田中雪は秋山直子の後ろ姿を見て、相手に学生会に入る気がないことが分かり、残念そうにため息をついた。
ちっ、四大家族の人はどこだろう……
彼女は田中先輩と一緒に下りながら、自分を探している人は森田佳代か橘声也、あるいは相馬律のような人たちだろうと想像していた。