335 幕が上がる（一更）

南雲慧は秋山直子について階下に行き、彼女が友達に会うと聞いて、足取りが遅くなった。

彼女は直子とは親しいが、結局彼女の友達は知らないので、行くのは気が引けた。

「私は一人で……」南雲慧は口を開いた。

秋山直子は眉を上げ、「二人は同窓生よ、行きましょう、食堂にいるわ」と言った。

「あなたの友達は何人いるの？」南雲慧は直子の後ろについて行った。

「三人よ」直子は八号食堂の一階の自動販売機の前で立ち止まり、硬貨を数枚入れて、二缶のコーラを取り出した。

三人とも東大に合格したの？

南雲慧は直子をどんな表情で見ればいいのか分からなかった。これがいわゆる類は友を呼ぶというやつなのだろうか？

秋山直子は一缶のコーラを南雲慧に投げ、片手で携帯を持ったまま、ポケットにしまわずに、片手でプルタブを開け、一口飲んだ。