秋山直子に会う前、渡辺親分は江戸川峰が雲光財団の上層部だと知っていた。結局のところ、綾辻栞が何かを送るときはいつも直接雲光財団に転送され、秋山直子がそれを拒否して返却する場合でも、雲光財団の人々が宝物のように大切に扱って恭しく返してくるのだから。
前回、綾辻栞が送ったグラミー賞のトロフィーもそういう結末だった。ただし綾辻栞は受け取りを拒否したが……
これについて言えば、渡辺親分は綾辻栞の度胸が時々かなり大きいと感じていた。
芸能界のような場所では、綾辻栞の性格だけでは、雲光財団の運営がなければ、とっくの昔に消えていただろう。
このことは綾辻栞も理解していたので、江戸川和葉を見ても平然としていられた。
渡辺親分の話を聞いた秋山蓮のマネージャーは「……」
江戸川家は強力だが、アジアの大物レベルの雲光財団と比べると……