403 約束した面会、十年経っても見つからない機会(三更)

温水さんは携帯に表示された名前を見て、残りの言葉が途中で止まった。

「ゴホゴホゴホ……」彼女の隣で水を飲んでいた田村香は、温水さんの言葉を聞いて、思わず喉を詰まらせた。

彼女は顔を真っ赤にして咳き込み、それから手を振って温水さんに早く電話に出るよう促した。

温水さんは名優秋山と彼のマネージャーの電話番号を保存していたが、名優秋山が彼女に電話をかけてくるとは思ってもみなかった。

一瞬呆然としてから我に返り、急いで電話に出て、手を口元に当てて声を低くした。「秋山様」

マネージャーらしい落ち着いた対応だった。

名優秋山はすでに家に着いていた。彼は冷蔵庫を開けて水のボトルを取り出した。この電話は長い間考えた末、田村香のマネージャーにかけることを決めたものだった。「こんにちは、田村香さんは明日時間がありますか?」