道中の花に悩まされ

　秋山直子。田舎育ちで、1年間の行方不明者になり、休学を経て千葉県の名門高校に編入したばかりの、どこか影のある少女。
実母に引き取られた先の新しい家族は、名家の継父、天才と名高い義兄、成績優秀な義妹と、きらびやかな面々。「あの子達の顔に泥を塗らないで」――実母の言葉が、直子の肩に重くのしかかる。

そんな彼女の婚約者は、神崎深一。気だるげな雰囲気とは裏腹に、東京の経済界にも影響力を持つ大富豪の御曹司だ。
彼は周囲にこう紹介する。「俺の直子は、田舎者で世間知らずなんだ。経済のことも疎いし、ちょっと気難しいけど……まぁ、みんなよろしく頼むよ」
だが、それは彼なりの優しさなのか、それとも――？

ある日、深一が追っていた某大物の調査の過程で、彼の有能な部下が偶然衝撃的な事実を発見してしまう。それは、深一が「何も知らない」と言っていたはずの直子の、信じられないような「隠された一面」だった。
（……え、奥様、一体何者なんですか！？）部下は驚愕のあまり、思考が停止する。

これは、お互いの「とんでもない素性」を隠し合うカップルの物語。彼らが秘密を打ち明ける時、何が変わるのでしょう？



二人の隠しこと

大江薫は129の重要なメンバーに昇格し、大江家でも順風満帆に過ごしていた。


東京の大小数十の勢力とも良好な関係を築いていた。


誰も彼女と敵対したくはなかった。


幸い大江家は基盤が不十分で、大江薫がいても秋山家を一時的に押しのけただけで、そうでなければ大江家はさらに前進していただろう。


神崎深一はいつも寡黙で、他の人は彼に近づく勇気がなかった。


だから大部分の人は大江薫と話していて、先ほどまで注目の的だった秋山直子も、徐々に関心を持たれなくなっていった。


9時58分、徳田さんは手を後ろに組んで壇上に歩いた。


司会者は雰囲気を盛り上げながら、まず出席者全員を歓迎する挨拶をし、今日の主な行事について話し始めた。「本日は徳田さんの次期後継者の就任式であり、また本人が初めて公の場に登場する機会でもあります...」


494継承人、129封神存在（三更）