「わかった。」神崎木はそれ以上何も言わなかった。
彼は試合場を見続けた。
観客席にはバートの熱狂的なファンもいて、バートの名前を力強く叫んでいた。「バート!バート!」
中央の投影で、司会者は数十秒間の間を置いてから、再び口を開いた。「次に最後の一人、マース家族闘技場のブランク出場者をお迎えします!」
彼の声とともに、右側の昇降台がゆっくりと上がってきた。
台上のすべての人が投影の方向を見ていた。
それは完全に黒い姿だった。
体には緩やかな黒い練習着を着ていた。
頭にはヘルメットはなく、黒いマスクだけをつけていて、暗金色に赤い縁取りが施され、まるで火の鳳凰の姿を描き出しているようで、炎の中から舞い上がろうとしているかのようだった。
その姿は痩せていて、長い黒髪が黒いリボンで後ろで束ねられていた。