511:712爆発事件

東大の医学実験室に彼女は一度行ったことがあり、田中静のために実験薬の鑑定をした。

その後、田中静は臨終の際にいくつかの品を残した。

秋山言葉と月島泉は何も欲しがらなかった。

宮本恵も何も取らず、遺品はすべて彼女と月島樹のところにある。

秋山直子は徳田校長を見つめ、しばらくしてから頷いた。「わかりました。」

田中静は当時、死んでも東京に一歩も踏み入れようとせず、東京で起きたことについて彼女に一言も話したことがなかった。

「東京に戻ったからには、最近は必ず神崎家の三男についていなさい。何もなくても彼の半歩の範囲内から離れないように」と徳田校長は言いながら、ドアの外の方向を見た。「彼の姿が見えないけど?」

「外で私を待っています」秋山直子は徳田校長の言葉を聞きながら、目を伏せた。