道中の花に悩まされ

　秋山直子。田舎育ちで、1年間の行方不明者になり、休学を経て千葉県の名門高校に編入したばかりの、どこか影のある少女。
実母に引き取られた先の新しい家族は、名家の継父、天才と名高い義兄、成績優秀な義妹と、きらびやかな面々。「あの子達の顔に泥を塗らないで」――実母の言葉が、直子の肩に重くのしかかる。

そんな彼女の婚約者は、神崎深一。気だるげな雰囲気とは裏腹に、東京の経済界にも影響力を持つ大富豪の御曹司だ。
彼は周囲にこう紹介する。「俺の直子は、田舎者で世間知らずなんだ。経済のことも疎いし、ちょっと気難しいけど……まぁ、みんなよろしく頼むよ」
だが、それは彼なりの優しさなのか、それとも――？

ある日、深一が追っていた某大物の調査の過程で、彼の有能な部下が偶然衝撃的な事実を発見してしまう。それは、深一が「何も知らない」と言っていたはずの直子の、信じられないような「隠された一面」だった。
（……え、奥様、一体何者なんですか！？）部下は驚愕のあまり、思考が停止する。

これは、お互いの「とんでもない素性」を隠し合うカップルの物語。彼らが秘密を打ち明ける時、何が変わるのでしょう？



二人の隠しこと

神崎深一は激しく震え、タバコを持つ手も強張り、一瞬も目を離さず風間誠を見つめた。


「君は長浜町が研究基地で、田中教授が宮本新次の残した最後の隕石文明研究者だということを知っているはずだ。当時、私は金子隊長と坂本美月の父親と一緒に大物麻薬密売人を追っていて、長浜町の真実を発見したんだ」風間誠は話しながら、当時の状況を思い出し、目が曇った。


彼は坂本美月の父親と知り合いだった。


当初、長浜町で調査していた時に秋山直子という人物がとても奇妙だと気づいた。


その後、田中静についてもいくつか事実を突き止めた。


当時、坂本明と坂本美月が麻薬密売人に捕まり、風間誠たちは逮捕作戦を展開したが、麻薬密売側にはハッカーがいて金子隊長側の位置特定を妨害していた。


進展が見られない中、秋山直子が金子隊長の部下の技術者からパソコンを取り上げ、敵の防御を突破した。


512 悲壮な真実（二更）