518誰にも揺るがされない信頼、危篤(二更)

大江薫が他の理由を言っていたら。

秋山直子はおそらく信じたかもしれないが、129を持ち出すなんて……

秋山直子は冷静に考えていた。いつか大江薫が自分こそが129の人間だと知ったら、今日彼女が見つけたこの言い訳がどれほど愚かに思えるだろうか。

大江薫の言葉には少し真実味があった。秋山直子は全く信じないわけではないが、完全に信じることもできなかった。

とにかく……

どんな理由であれ、大江薫が彼女と神崎深一の信頼関係を壊そうとするなら、それは完全な間違いだ。

大江薫が一体どんな人物なのか……

秋山直子は俯き、秋山家のことを考え始めた。

秋山家が四大家族の一つから転落したのは大江家のせいだった。その後、秋山直哉の件で、彼女は秋山昭を刑務所に送り、秋山四男坊が持っていた株式の18%を秋山直子が奪い取り、それを秋山蓮に譲渡した……