第49章 かつての若奥様

「咲姫、やっと目が覚めたのね」立花心蕾は目を真っ赤にして、霧島咲姫が目を覚ましたのを見て、やっと胸をなでおろした。

彼女は手を伸ばして咲姫の体温を確かめ、ため息をついた。

「あなたね、二日間も眠りっぱなしだったのよ。一昨晩は39.8度まで熱が上がって、朝霧翔真はあなたのそばで一日一晩付き添ってたわ。私があまりにも見かねて、無理やり彼を寝かせたくらいよ」

彼女に言わせれば、この朝霧翔真もバカな男だわ。ただ黙ってそばにいるだけで、何の役に立つっていうの?

男というのは積極的に行動すべきなのに、どうしてそれが分からないのかしら。

霧島咲姫は目覚めたばかりで、喉がカラカラに渇いていたが、立花心蕾はずっとそこで話し続け、何か様子がおかしいことにまったく気づいていなかった。

彼女は立花心蕾の手をぐっと掴み、自分の口を指さした。