「いいわ」陳韵の目に一筋の冷たい光が走った。「でも条件があるわ」
二人はすぐに意気投合した。
「お嬢様、本当に彼女を助けるのですか?」傍に立っていたボディガードは東條未煙が去っていくのを見て、目には軽蔑と高慢な態度が浮かんでいた。
こんな女が自分のお嬢様と条件を交わすなんて。
本当に笑止千万だ。
菅田響子は車に乗り込み、ようやくサングラスを取り出した。
「この神城慈乃って、一体何者なの?神城家にこんな名前の人がいるなんて知らなかったわ」
神城家の大爺様は一人っ子じゃなかったの?どこから神城慈乃が出てきたの。
ボディガードは彼女の側に長くいたので、彼女のちょっとした仕草でも全て理解していた。
「神城家の大爺様が養子にした子供です。若い頃の戦友の孫娘らしく、霧島咲姫とは幼い頃から仲が良かったそうです。四年前に軍に入り、最近戻ってきたばかりです」