「本当に、彼女の姿を見て、この方向に来たのか?」
その時、東條未煙はゆっくりと煌の部屋の入り口まで歩いてきた。眉間にしわを寄せ、そばには使用人が一人ついていた。
「はい、確かです。霧島さんの姿を、私は間違えるはずがありません。」
使用人の言葉を聞いて、東條未煙の口元には嘲笑の色が浮かび、心の中で霧島咲姫への軽蔑の念がさらに強まった。
「そうであれば、ドアを開けなさい。彼女がどこにいるのか見てみましょう。」
東條未煙は目配せをして、使用人にすぐにドアを開けさせた。その時、霧島咲姫はまだクローゼットの中に隠れており、心臓は胸から飛び出しそうなほど激しく鼓動していた。
東條未煙はゆっくりと部屋に入り、一周見回したが、誰の姿も見つからなかった。彼女の眉はわずかに寄せられた。