第130章 急所に当たらなかった

あなたは絶対に何も起こってはいけない。

霧島咲姫は救急室の外に立ち、目には涙を浮かべながら、中の様子をじっと見つめ、心の中は後悔でいっぱいだった。

「咲姫、彼は大丈夫だよ」朝霧翔真は眉をひそめ、心配そうな目で言った。

なぜ、また彼なのか。

しかし霧島咲姫は振り返り、黙って首を振った。

——すべて私のせいで、彼が怪我をした。翔真、あなたには分からない、彼は私を救うためにこうなったのよ。

そう思うと、霧島咲姫は眉をひそめ、歯を食いしばりながら手振りで伝えた。自分の体にもかなりの擦り傷があったが、彼女はそんな小さな問題をすでに完全に無視していた。

朝霧翔真は心を痛め、彼女を近くの救急処置室に連れて行って傷の手当てをした。

「手術はまだ1時間以上かかる。ここで傷を処置してから彼に会いに行っても遅くないよ」できることなら、自分があの病床に横たわる男であればと願った。