霧島咲姫は席に座り、すぐに誕生日の歌が響き始めた。神城連真は彼女に目を閉じるよう促し、パッという音とともに、周囲の環境が突然暗くなった。
一人の女性がカートを押してゆっくりと近づいてきた。ケーキは精巧で小さく、先ほどのものよりも一回り小さかった。
霧島咲姫は笑みを浮かべ続けた。
「目を開けて」神城連真はようやくゆっくりと言い、彼女に目を開けるよう促した。
目の前には星の光が輝いていた。このとき霧島咲姫は気づいた。プールの周りには蛍がいたのだ。先ほどは明かりが明るすぎて気づかなかったが、今になって見えた。
大小さまざまな蛍が数え切れないほど目の前を取り囲んでいて、とても美しかった。
彼女は目の前でろうそくを置いている男性を見つめ、ついに涙を抑えきれず目から零れ落ちた。彼女は歯を食いしばり、つま先立ちになって彼の頬に軽くキスをした。