第213章 出現

五年後

空港

カーキ色のトレンチコートを着た女性がサングラスをかけ、待合室で待っていた。周りの人々は彼女を見つめて目を離せなくなっていた。

「ねえ、これって芸能人じゃない？」

「そうだよね、この雰囲気は完璧だよ。どこかの有名人なんじゃない？」

周囲の人々は次々と噂し始めた。それはすべて、その気品あふれる女性のためだった。

「ロサンゼルス発西平行きの便が到着しました…」

女性はようやくゆっくりとサングラスを外した。滝のような美しい髪が肩に流れ落ち、その美しさは言葉では表せないほどだった。彼女は椅子から立ち上がり、ゆっくりと人混みの方へ歩いていった。

人混みの中で一人の男性がスーツケースを引きながら彼女を探しているようだった。彼女を見つけた瞬間、興奮して彼女を抱きしめた。

「咲姫」

「もう、数時間会わなかっただけなのに、そんなに興奮することある？」女性は苦笑いしながら、優しく彼の額に触れた。

実は偶然なことに、二人は同じ飛行機に乗るはずだったが、朝霧翔真が少し用事があって遅れ、便を変更せざるを得なくなった。そのため彼女はここで彼を待つことになったのだ。

朝霧翔真は眉をひそめ、不満そうに口をとがらせた。「正確に言うと、18時間、ほぼ一日だよ」

ロサンゼルスからの時間はあまりにも長かった。

一日彼女に会えないだけで、心が落ち着かなかった。

彼らはM国でこんなに長く離れたことはなかった。

朝霧翔真の心には常に不安があった。西平に戻ることはいい考えではないと思っていたが、咲姫が戻りたがっていたので、彼は彼女についていくしかなかった。

隣にいる女性を見ると、彼女は以前とは全く別人のようだった。

以前の咲姫もとても美しかったが、骨の髄まで優しく、賢淑だった。しかし今の彼女は、攻撃的な美しさに満ちていた。それは他人が触れることを恐れる、一般の男性が近づくことさえ恐れる鋭い武器のようだった。

「もう、英語の名前で呼んでって言ったでしょ？」彼女の目に一瞬冷たい光が走り、ゆっくりとサングラスをかけ直すと、顔は再び氷河のような表情に戻った。

朝霧翔真は一瞬体を硬直させ、最後に笑みを浮かべた。「リサ」

リサの目に満足の色が浮かび、静かに頷いた。「うん、今回私たちが戻ってきたのは、重要なことがあるからよ」

彼女の目には憎しみが満ちていた。