道中、リサは特に冷たい目つきで、結も何を言えばいいのか分からず、ただ静かに霧島咲姫の後ろについて行き、あまり話す勇気がなかった。
普段も彼女の表情はこんな感じだったが、いつもと今日では雲泥の差があった。
「着いたわ、降りましょう。今回会社に戻ってからも処理すべき問題がたくさんあるから、少し待っていてね」リサは淡々と言った。話している間、彼女は顔を上げることさえしなかった。
結は急いで頷き、静かに会社の入り口で霧島咲姫を待った。案の定、しばらくするとリサは大量の書類を抱えて戻ってきて、結を一瞥して「行きましょう、私のオフィスに来て」と言った。
すぐに二人はオフィスに着き、急いで仕事を片付けた後も結はまだ帰らなかった。彼女の心は葛藤していた。自分の疑問について尋ねたいと思いつつも、どう切り出せばいいのか分からず、また多くを尋ねる勇気もなかった。
傍らの霧島咲姫は彼女の様子がおかしいことに気づき、手元の仕事を片付けた後、無意識に咳払いをした。
「どうしたの?何か疑問があるように見えるけど、会社の仕事で分からないことがあるの?」
「うーん...そうじゃなくて、リサさん、もう遠回しな言い方はやめます。さっきの契約、私たちは明らかに取れたはずなのに、なぜ断ったんですか?神城連真の会社は優秀なことで有名で、せっかくのチャンスだったのに、こうして断ってしまって...」
言いながら結は黙り込んだ。
これは明らかに向こうから持ち込まれた美味しい話だったのに、最終的にこうなってしまった。
彼女は首を傾げてリサさんを見ると、突然胸がどきりとした。
どうすればいいのか、何を言えばいいのか分からず、言葉が終わるや否や、結はリサの表情がゆっくりと変わっていくのを見た。
瞳には憎しみと痛みが宿っていた。
一体どういうことなのだろう?
リサさんと神城連真の間には一体どんな因縁があるのか。
なぜ神城社長の話になるとリサさんはまるで別人のようになるのだろう?結は心の中で理解できずにいた。
彼女は事の経緯を知らず、一瞬、自分が言ったことを後悔した。
リサはこの質問に当然困惑した。彼女も断った理由が分からなかった。
おそらく、その時に神城連真の気持ち悪い顔を見たからか、あるいは煌のためか、それとも彼の高慢な態度に耐えられなかったからか。