タクシーに乗ったばかりの霧島咲姫は、全身がどこか調子悪いと感じた。
頭がなんとなく不快で、全身が疲れ切っているような感じがした。よく考えてみると、最近は特に重労働をしたわけでもなかった。
ここ数日はとても気楽に過ごしていたのに、なぜ今日突然こんなに疲れを感じるのだろう?
彼女はあまり深く考えず、おそらく単なる体調不良だろうと思い、気にしないことにした。
前の運転手は当然、霧島咲姫の顔色がおかしいことに気づいており、咲姫も運転手が自分をずっと見ていることに気づいていた。
「お嬢さん、顔色があまりよくないようですが、病院に連れて行きましょうか?」運転手は無意識に尋ねた。その口調には深い心配が込められていた。
霧島咲姫は無意識に運転手を見回し、顔に薄い笑みを浮かべて首を振った。「大丈夫です、慣れてますから。家に薬がありますので」
運転手はうなずいて黙った。咲姫は最初、少し怖いと思っていたが、この運転手が自分と日常的な会話をしてくれたことで、徐々に警戒心を解いていった。
時間が一分一秒と過ぎ、霧島咲姫はもうすぐ到着することに気づいて言った。
「運転手さん、ここでいいです」そう言うと、彼女はお金を払って車を降りた。
家までまだ少し距離があったが、今日は一人で散歩したいと思った。歩きながらリラックスしようと思った。午後、神城連真と一緒にいた時はほぼずっと緊張状態だったので、気分転換してリラックスしたかった。
ちょうどこの道は人が少なく、特に静かだった。
ふぅ〜やっと一息つける。でもなんでこんなにふらふらするんだろう。ああ、霧島咲姫、しっかりしなさいよ。やっと休める時間ができたのに、体調を崩すなんて。
彼女は歩きながら独り言を言っていた。
しばらく歩いた後、やはり帰ることにした。
そうして、彼女はふらふらしながら家に帰った。足取りはおぼつかなかったが、幸いなことに道中で何も問題は起きなかった。
霧島咲姫は一人で部屋に座り、周りは静かで、彼女も自然とぼんやりしていた。
熱いお茶を一杯入れた後、湯気の立ち上る様子を見つめながら、思わずぼうっとしていた。
先ほどカフェでの出来事を思い出すと、彼女の心の中で一番強かったのは悔しさだったが、どうしようもなかった。今の自分の立場や地位を考えると、耐えるしかないだろう。