第249章 パパが嫌いなの?それとも料理が嫌いなの?

「仕事が終わったら迎えに行くよ。煌が親子レストランで一緒に食事したいって言ってるんだ」

霧島咲姫は携帯を手に取り、メッセージを見つめながら、複雑な思いで迷った末に、無意識のうちに行くことを選んだ。

煌が望むものは何でも、彼女は全力で叶えようとする。

ましてや煌の世話をするだけなら尚更だ。

退社時間になると、彼女はきちんと身なりを整えていた。

「ママ」

煌は興栄グループの建物の脇に立っていた。退社する人々が行き交っていたが、ほとんどは正面玄関から出て、別の方向には向かわなかった。

彼の後ろにいるのは当然あの男だった。

ただし今回は神城連真は車から降りていなかった。

「煌!」彼女は小走りで近づき、一気に彼を抱きしめた。今や煌はもうすぐ7歳になり、彼女自身体があまり丈夫ではなかったので、この抱擁で彼女の力の大半を使い果たしてしまった。