第270章 考えれば考えるほど悔しい

霧島咲姫は外出すると全身が落ち着かず、煌が隣に座っていて当然、咲姫の様子がおかしいことに気づいた。

彼は彼女の方に寄り添い、咲姫の手を握りながら、「ママ、どうしたの?なんだか悲しそうな顔してるよ」と言った。

そう言うと彼は咲姫に寄りかかり、彼女は一瞬心が温かくなったが、やはりこの家にはもう居られないと感じた。どう考えても、一人で静かに過ごした方がいいだろう。

彼女は子供を見つめ、少し間を置いてから、ついに決心して言った。「煌、いい子ね。ママは自分の家で数日過ごしたいの。また今度煌に会いに来るからね」

煌は拒否せず、ただ黙って頷いた。一瞬、咲姫はこの子の素直さに胸が痛んだが、今回は決心が固く、どうしても帰らなければならなかった。

彼女は疲れた体で適当に着替えを集め、その夜のうちに出て行った。