第309章 誤解解消

霧島咲姫は一人で自分の部屋に戻り、心の中は不安でいっぱいだった。

夜も更けていたが、彼女はまったく眠気がなく、考えれば考えるほど何かがおかしいと思い、思い切って立ち上がり、車で朝霧翔真が以前トラブルに遭った建物へと向かった。

警備員は別の人に変わっていたが、霧島咲姫がその日の出来事を話すと、警備員はすぐに思い出し、監視カメラの映像を見せてくれた。

「霧島さん、その日の監視カメラの映像はここにあります。これはその日の建物全体の映像です。本来なら各階にもカメラがあるのですが、ちょうどその日は団地の改装工事があって、一時的に電源を切る必要があったため、このような状況になってしまいました」

霧島咲姫は眉をひそめた。どういう意味だろう?

本来なら各階にカメラがある?

朝霧翔真のマンションは高級住宅で、一階に三世帯しかない。もし各階にカメラがあれば、調査はとても簡単だったはずだ。しかし、ちょうどその日にカメラが故障していた?

しかし彼女は神城連真の車のナンバーを見ていた。

彼女はまるで霧の中に迷い込んだようだった。

彼女は唇を噛み、体が少し震えながら「何か怪しい人物はいませんでしたか?」と尋ねた。

朝霧翔真はここの住人だったので、このような事件が起きれば、管理会社も大きな責任を負うことになる。しかし、神城連真が犯人だという直接的な証拠はなく、みんなただ疑っているだけで、管理会社にはとても神城連真を犯人と断定する勇気はなかった。

これはあまりにも偶然すぎる。

そして彼女の頭の中に突然、心蕾の言葉が浮かび、事態はそれほど単純ではないと感じた。

自分は本当に神城連真を誤解していたのではないか。

そう思うと、霧島咲姫の心はさらに締め付けられた。

神城連真は横暴かもしれないが、少なくとも自分に嘘はつかない。そう思うと、彼女はさらに焦り、ビデオを受け取るとすぐに帰ろうとした。しかし外で見覚えのある車を見つけた。

車の窓が少し開いており、中では赤い光が点滅し、煙が立ち込めていた。神城連真がタバコを吸っていた。一本また一本と、彼の目には憂いが満ちていた。

そして彼が向いていたのは、彼女の窓だった。

霧島咲姫は彼の車の後ろで、自分の車の中に座り、心臓が強く掴まれたような感覚だった。

彼女は今、この事件が絶対に彼とは関係ないと確信できた。