霧島咲姫は一人で自分の部屋に戻り、心の中は不安でいっぱいだった。
夜も更けていたが、彼女はまったく眠気がなく、考えれば考えるほど何かがおかしいと思い、思い切って立ち上がり、車で朝霧翔真が以前トラブルに遭った建物へと向かった。
警備員は別の人に変わっていたが、霧島咲姫がその日の出来事を話すと、警備員はすぐに思い出し、監視カメラの映像を見せてくれた。
「霧島さん、その日の監視カメラの映像はここにあります。これはその日の建物全体の映像です。本来なら各階にもカメラがあるのですが、ちょうどその日は団地の改装工事があって、一時的に電源を切る必要があったため、このような状況になってしまいました」
霧島咲姫は眉をひそめた。どういう意味だろう?
本来なら各階にカメラがある?
朝霧翔真のマンションは高級住宅で、一階に三世帯しかない。もし各階にカメラがあれば、調査はとても簡単だったはずだ。しかし、ちょうどその日にカメラが故障していた?
しかし彼女は神城連真の車のナンバーを見ていた。
彼女はまるで霧の中に迷い込んだようだった。
彼女は唇を噛み、体が少し震えながら「何か怪しい人物はいませんでしたか?」と尋ねた。
朝霧翔真はここの住人だったので、このような事件が起きれば、管理会社も大きな責任を負うことになる。しかし、神城連真が犯人だという直接的な証拠はなく、みんなただ疑っているだけで、管理会社にはとても神城連真を犯人と断定する勇気はなかった。
これはあまりにも偶然すぎる。
そして彼女の頭の中に突然、心蕾の言葉が浮かび、事態はそれほど単純ではないと感じた。
自分は本当に神城連真を誤解していたのではないか。
そう思うと、霧島咲姫の心はさらに締め付けられた。
神城連真は横暴かもしれないが、少なくとも自分に嘘はつかない。そう思うと、彼女はさらに焦り、ビデオを受け取るとすぐに帰ろうとした。しかし外で見覚えのある車を見つけた。
車の窓が少し開いており、中では赤い光が点滅し、煙が立ち込めていた。神城連真がタバコを吸っていた。一本また一本と、彼の目には憂いが満ちていた。
そして彼が向いていたのは、彼女の窓だった。
霧島咲姫は彼の車の後ろで、自分の車の中に座り、心臓が強く掴まれたような感覚だった。
彼女は今、この事件が絶対に彼とは関係ないと確信できた。