神城連真は一束の資料の中から財務部の公印が押された契約書を見つけ出した。
くそっ!この契約書は全く法的効力がなく、朝比奈氏を代表して朝比奈凡に法的責任を追及することもできない。
神城文弥は神城連真の困惑を見抜き、忍耐強く説明した。「神城社長、契約書は無効なものです。しかも契約書に記載されている口座に既に送金されています。午後、私が人を派遣して朝比奈凡を探しましたが、彼は既に西平を離れていました!」
神城連真は怒りで手元の資料を床に叩きつけた。「財務部は何をしているんだ!なぜ送金前に契約書をしっかり確認しなかったんだ!」
神城文弥は黙り込んだ。彼は財務部のために弁解したかったが、結局神城連真自身が署名した契約書だったのだ。彼女たちはいつも質問せずに直接送金を担当していた。神城社長は今回本当に怒っていて、その言葉の裏には自分も叱られているのではないかという意味が含まれていた。