第363章 密かな恋心

神城連真はずっと黙っていたが、この時突然口を開いた。「菅田先生、お疲れ様です。それでいいでしょう。煌のことでご心配をおかけしましたが、学校に図書館を一つ寄贈させていただきます」

菅田先生は煌のご両親がこれほど寛大だとは思っていなかったので、大喜びした。「煌のお父様、お母様、少々お待ちください。すぐに事務室から書類を持ってきます!」

菅田先生が出て行くとすぐに、宝石や高級品で身を飾った若い女性が二人の側に近づいてきた。「お二人が煌のお父様とお母様ですね。甥からあの天才のことをよく聞いていました。今日やっとお二人にお会いできました。うちの甥は運がなくて、これからは煌くんと同級生でいられないようですね」

霧島咲姫はパーティーでこの女性を見たことがあったが、名前がすぐに思い出せなかった。

目の前の女性はようやく自己紹介を始めた。「桐島詩雲と申します。最近、兄の会社とご社との間でいくつか取引がありますね。どうぞよろしくお願いします!」

神城連真は彼女をまともに見ようともしなかった。彼はこのような関係を利用しようとする女性に良い印象を持ったことがなかった。

霧島咲姫はようやく思い出した。桐島家の娘だった。この娘は普段公の場にほとんど姿を現さないが、面子は立てなければならない。そこで彼女は丁寧に右手を差し出した。「こんにちは、桐島さん!」

菅田先生はこの時、書類を持って教室に戻ってきたが、目の前の光景に驚いた。西平最大の神城家と桐島家の子どもたちが自分の生徒だなんて、自分は教師業界で名を上げることになりそうだ。

桐島詩雲は菅田先生を見て、「先ほど神城家が学校に図書館を寄贈すると聞きました。それなら桐島家は子どもたちに音楽室を寄贈しましょう!」

菅田先生の瞳孔には驚きが満ちていた。この保護者会は価値があった。年末には昇進間違いなしだろう。

神城連真の心の中の嫌悪感はさらに深まった。

霧島咲姫はこの時、真剣に書類に記入しており、彼らの会話に注意を払っていなかった。

すぐに二人は資料を提出し、その場を離れた。

霧島咲姫は神城連真を神城家まで送り、自分は一人で会社に向かった。

明日の夜は東化通り商業区の入札会だった。

これは西平全体で最近熱く議論されている新しい商業区で、無数の人々がこの肥沃な土地に目をつけていた。自分がいい加減にするわけにはいかない。