第440章 雪乃清香

翌日の朝、霧島咲姫は目覚めるとすぐに西平福祉院へ向かった。

最近、慈善基金会がこの福祉院に多額の資金を投入したため、今日は福祉院が彼女を見学に招待したのだ。

福祉院に到着すると、院長と全スタッフが同じ服装で、盛大に彼女を出迎えた。

彼女はそこまでする必要はないと思っていた。自分はただ心を尽くしたいだけで、そんなに大げさにする必要はないと。

しかし、厚意を断れず、霧島咲姫は応じて歓迎の儀式を終えた。

その後、院長が口を開いた。「霧島さん、今日はちょうど福祉院の運動会なんです。ご存知の通り、私たちの施設には特別な子どもたちがたくさんいて、みんなこの運動会を楽しみにしています。よろしければ、皆さんと一緒に参加されませんか?」

霧島咲姫は頷いて承諾した。子どもたちの盛大な催しを見るのも素晴らしいことだ。

そして、彼女は車に戻ってスポーツウェアに着替えた。

運動場に戻ると、体育教師がチーム分けをし、子どもたちを年齢別に分けて競技を行っていた。

数多くの競技に目を奪われ、しばらく迷った後、特別な子どもたちの綱引き競技に参加することにした。「子どもたち、叔母さんも一緒に参加していいかな?このチーム、あと一人足りないみたいだね!」

このチームはもともと人数が足りておらず、先生も誰かを参加させないようなことはしたくなかった。そうすれば子どもたちに悪い感情が生まれてしまう。彼女の到来を見て、みんな笑顔で頷いた。

霧島咲姫は胸が痛んだ。彼らの多くは聴覚障害者で、かつて自己も口がきけず、手話でしかコミュニケーションができなかった。

彼女は子どもたちの気持ちを考慮して、わざわざ手話でもう一度繰り返した。

子どもたちも次々と応答した。

傍らにいた院長はとても嬉しそうだった。霧島さんがこのような準備をしていたとは思わなかった。本当に愛情深い人だ。

体育教師が笛を吹き、大きく手を振ると、試合が正式に始まった。すべての子どもたちが力を振り絞った。

霧島咲姫は最後尾に立ち、自分も全力を尽くした。

自分のチームの最後にいるのは痩せて小さな女の子で、彼女も同時にその子を守っていた。

徐々に、長いロープが相手側に傾き始め、全員が最後の力を振り絞った。体育教師が横で応援し、他の競技グループの子どもたちも集まって応援し始めた。