第507章 敵の敵は味方

一条景滔は会社に戻ると、宮殿のように豪華な自分のオフィスに座り、得意げな気分に浸り始めた。

一条氏の社員全員が、一条景滔はあまりにも目立ちすぎていて、世界中の人々に一条氏がどれほど凄いかを知らせたいと思っているようだと感じていた。

そのとき、アシスタントがドアをノックしてオフィスに入ってきた。

この一条景滔は気性があまり良くなく、アシスタントはいつも戦々恐々としていた。

彼は緊張した様子で口を開いた。「一条社長、大変です。今日の経済ニュースで我が一条氏の手法が悪質だと報じられています。誰かが匿名で我が社が至る所で引き抜きを行っていると告発し、証拠まで添付されています!」

一条景滔はすぐに笑顔を引き締め、驚いた表情で「何だって?」と言った。

彼はこの時点で、この匿名の行為が全く無駄な努力であり、間違いなく神城連真がやったことだと理解した。

彼はニュースを見ると、暴露された人物は確かに以前神城グループの社員だった人たちで、副社長の黒い情報まであった。

この時、多くの人々が一条氏の手法は卑劣だと批評し、さらには驕り高ぶって、神城グループに手を出す勇気があるとまで言っていた。

一条景滔は生涯で負けることが最も嫌いで、このような時こそ怒りが頂点に達していた。

思いがけず、その副社長がこのタイミングでドアをノックする勇気を持っていた。

「言いなさい、また何があった?」彼の口調には苛立ちが満ちていた。

副社長は心の中で非常に後悔していた。最初からこの一条景滔の申し出を受けるべきではなかった。あの時点で、この男が単に絵に描いた餅を与えているだけだと見抜くべきだった。

彼は今、一束の契約書を取り出した。「一条社長、これらは今日の昼に会社が次々と受け取った他社からの契約破棄の書類です!多くの企業が、違約金を倍払ってでも我々のような黒い企業とは取引したくないと言っています!」

この時、副社長の出現は完全に火に油を注ぐようなものだった。一条景滔はもはや抑えきれず、デスク上のものを激しく床に払い落とした。

バリバリと砕ける音にアシスタントと副社長は肝を冷やした。

「全員出て行け!」

このような事態が発生した今、一条景滔は苦労して一条氏をここまで導いてきたのだから、簡単に諦めるつもりはなかった。