第515章 金蝉脱殻

週末の疲れを終えて、霧島咲姫は子供たちを連れて豪華な食事に出かけることにした。

最近敏感になりすぎているのか、道中ずっと誰かに付けられている気がした。

しかし子供たちの笑顔を見て、それ以上考えるのをやめ、食事の後で子供たちを連れて家に帰った。

翌日も子供たちは学校があるので、早く休むよう促した。

最近はゆっくりとデザイン案を描く時間がなかったが、今日はちょうど良い機会だった。雪乃清香は一日中疲れて既に眠りについており、ようやく邪魔する人もいなくなった。

彼女はすぐに道具を取り、書斎へ向かった。

神城連真が帰宅したとき、書斎で既に眠っている彼女を見つけ、すぐに抱き上げて寝室へ運んだ。

翌日、霧島咲姫は自ら子供たちを学校まで送り、一人で車を運転して会社へ向かった。

彼女の会社へ行くには小道を通る必要があり、そうすることで通勤ラッシュの渋滞時間を節約できるため、いつもこの道を通っていた。

この道は普段とても静かなのだが、今日はどうしたことか、道中ずっと猛スピードで走る車ばかりだった。

彼女はゆっくりと運転するしかなく、何か起きないかと心配だった。

ちょうど上り坂に差し掛かったとき、突然一人の老人が彼女の車を止めた。彼女はすぐにブレーキを踏み、シートベルトをしていなければ体が前に飛び出していたかもしれなかった。

老人は彼女の車が止まるのを見て、顔に不気味な笑みを浮かべ、そのまま彼女の車の前に横たわった。

霧島咲姫は意味が分からなかった。何が起きているの？

朝早くから当たり屋が来たの？

彼女は我慢できず、すぐに車を降りて状況を確認しに行った。

車を降りて「おじさん！」と叫んだ瞬間。

後ろから突然誰かが飛び出してきて、彼女の口を手で塞いだ。

ハンカチには麻酔薬が染み込んでいて、彼女が気づいたときには既に遅かった。

人は緊張すると大きく呼吸するものだ。この時、彼女の意識は徐々に薄れ、目の前が暗くなり、気を失った。

おじさんはこの時、一束の赤い紙幣を手に立ち去った。

霧島咲姫は乱暴に扱われ、ワゴン車に引きずり込まれた。

彼女が目を覚ましたとき、周りの環境が見知らぬ場所だったことから、自分が誘拐されたことを悟った。

彼女は必死に冷静さを保とうとした。この場所は廃れたホテルのように見え、部屋の中には今のところ誰もいなかった。