第042章 彼の異なる温もり9

卓田正修は林柳美が別荘に行きたがっていると聞いて、眉をひそめた。「妻よ、やめておいた方がいい。あの生意気な小僧はお前を快く思っていない。行っても彼に嫌な思いをさせられるだけだ。今は目が見えないから、前よりも気性が荒くなっている。幸い、縁起直しに来た鈴木家のお嬢様が少しは役に立っているようだが」

卓田正修がそう言うのを聞いて、林柳美はあきらめるしかなかった。

彼女も卓田越彦が自分を好きではないことを知っていた。しかし心の中では、卓田正修を愛しているがゆえに、ずっと彼を自分の息子のように思っていた。

「安心して。彼の目が良くなれば、戻ってくるわ。別荘でゆっくり静養させましょう」

あちらは環境が静かで空気も良く、林執事がいて、医療チームもいる。

何か起これば、林執事がすぐに知らせてくれるだろう。