第043章 彼の異なる温もり10

卓田越彦は彼女に息ができないほど抱きしめられていたが、彼は彼女の小さな体が微かに震えているのを感じることができた。彼女は本当に怖がっていた。

彼は半分起き上がり、彼女を腕に抱き寄せ、温かい大きな手で彼女の背中をトントンと叩いた。

できるだけ優しい声で彼女に言った。「雷が鳴っているだけだよ。叔父さんがいるから、何も怖がることはないよ。」

彼は言った：叔父さんがいるから、何も怖がることはない？

これは本当なのだろうか？音夢は彼の胸に顔を埋め、何か言おうとした。

しかし、さらに激しい稲妻が耳元に響き、風と雨の音と共に、外の大きな木が雷に打たれたような音がした。

点いていた灯りが突然消え、辺りは真っ暗になった。

鈴木音夢はさらに怖くなり、声も震えていた。「叔父さん、灯りがつかない、消えちゃった、真っ暗で、怖いよ、うぅ…」

卓田越彦はその雷の音を聞いて、近くに落ちたようだと思った。

彼女が灯りがつかないと言ったのは、おそらく回路に問題が生じたのだろう。「大丈夫、この山荘には専用の発電機があるから、すぐに復旧するよ。」

そう言うと、彼は片手で彼女の腰を抱き、もう片方の手でベッドサイドテーブルのインターホンを手探りで探した。

インターホンはすぐに繋がった。「若様、大丈夫ですか？雷が外の庭の大木を倒しました。若様と鈴木さんは絶対に外に出ないでください。」

林執事の言葉を聞いて、雷が外の庭の大木を倒したと知り、音夢はさらに怖くなった。

「誰かを電気室に行かせて確認し、予備の発電機を起動して、早く電気を復旧させてくれ。」

「かしこまりました、若様。すぐに手配いたします。」

林執事は急いで二人の人を連れて、電気室へ向かった。

しかし、若様は目が見えないのではなかったか？彼にとって、電気があるかないかに違いはあるのだろうか？

雷鳴と稲妻が交錯する暗闇の中、卓田越彦は彼女を抱きしめ、ずっと手で優しく彼女の背中をさすり、怖がらないようにと言い聞かせた。

これまで誰一人として、彼女にこんなに優しくしてくれる人はいなかった。

徐々に、鈴木音夢の心は少しずつ落ち着いてきて、外の雷と稲妻はもはやそれほど怖くなくなったように感じた。

彼女は横向きに彼の腕の中に半分横たわり、頭を彼の腕に乗せ、これまで感じたことのない温かさを感じた。